転職先を調べよう!ROEが高い上場企業ランキング【2018年前期】

「ROE」を30代の転職に活かすには?

企業の経営が上手くいっているかを表す「利益系」の指標には「ROE」というものがあります。

この「ROE」は転職や再就職を考えている求職者にとっては、中途採用数を左右するような指標となっています。自分が興味のある企業や業界が、今後中途採用を積極的に行ってくれるのか?といったことを判断する指標にもなるのです。

ここでは、転職・再就職に影響する「ROE」の意味と、日本の上場企業のTOP15について紹介していきます。




上場企業のROEランキング上位15社(2018年前期)

ここでは、『四季報CD-ROM 2018夏版』を元に、2018年前期の高ROE企業Top15を紹介します。

企業名 ROE[%] ROA[%] 業種
スカラ 50.58 19.99 情報・通信業
スタートトゥデイ 49.39 28.50 小売業
カカクコム 46.76 36.7 サービス業
TATERU 41.91 36.71 建設業
ブイ・テクノロジー 40.94 18.27 精密機器
UTグループ 39.50 12.10 サービス業
FPG 39.23 11.89 証券・商品先物取引業
RSテクノロジーズ 38.20 11.57 金属製品
ガンホー 37.75 17.73 情報・通信業
UUUM 37.57 28.69 情報・通信業
セゾン情報システムズ 37.43 11.77 情報・通信業
ディップ 37.15 20.60 サービス業
日本M&Aセンター 37.04 26.88 サービス業
日本管理センター 36.89 25.67 不動産業
MonotaRO 36.67 16.32 小売業


上位の「カカクコム」や「スタートトゥデイ」は最高益更新ということで、「売り上げ」の面での貢献が、ROEが高い要因となっています。

なお、自分でROEのデータを転職活動に活用する場合は、ROAと同様に志望業界で相対評価を行いましょう。

ROE(自己資本利益率)ってそもそも何?

ROE(Return On Equity)は「自己資本利益率」と呼ばれ、自己資本に占める利益の割合を示しています。

自己資本とは総資産から負債分を除いた資本のことで、企業が自由に使える資産額になります。つまり、新しい事業投資や設備投資といったものに投資しやすいお金です。その算出式は以下の通り。

ROEの計算式

純利益/自己資本×100(自己資本=総資産ー負債)

新しい投資ができる費用を多く有しているのに利益率が低い場合は、将来性という意味で若干の不安を感じてしまいます。

そのため、ROEが高い企業というのは、単純に考えると将来への投資をしながら利益を上げていると考えることができるのです。

ROEが優れているのは何%以上?

ROEはROAと同様に投資系の指標としてよく使われる指標ですが、「15%以上」の企業が優秀であると判断されます。2018年の前期のデータを参考にすると各企業数は以下の通りです。

  • ROEが15を超える(優秀):312社
  • ROEが10-15(良):559社
  • ROAが3-10(普通):1301社

ROAと同様に、企業形態(業界)によって基準となる数値は異なるので同業種内での相対比較を行うようにしましょう。

転職や再就職に「ROE」はどう関わってくるのか?

ROEが高い企業は、単純に考えると「将来に向けての投資が進んでいる」と判断できます。投資自体が上手くいっていると判断ができるので、ROAと同様に来期以降の予算設定が高くなると考えられます。

ROAと同様に以下の3つのような方針がとられます。

  1. 新しく事業を立ち上げる
  2. 事業拠点の拡大を検討する
  3. コストをさらに低減する

ただ、新規に投資を行う場合には、「すぐに売り上げを上げるのが難しい」ことがほとんどです。既存事業の売り上げアップはもちろん、コスト低減の方にもかなり力が注がれます。

したがって、その業界に精通した中途経験者などを採用すると同時に、新入社員や若手社員のレベルを上げていくことになります。採用数が増える可能性は十分にあるので、転職や再就職の求人が無いか定期的にウォッチしておきましょう。

ROEで企業を判断する場合に注意すべきこと

ROEのポイントは「自己資本をいかに活用しているか」という点です。ある程度成熟しきっている企業や業界では、大きく数値は変わりません。ただ、これから先の将来を見据える転職を考えている場合は着目しておきましょう。

また、たとえ投資をしたとしても、その期中に投資回収するのはほぼ不可能です。ですので、期によって数値が大きく変化することもあります。ROEの計算値だけではなく「ROEが変動した要因」を四季報の企業詳細や、転職エージェントなどに確認してみましょう。

株主資本が低い場合も注意

自己資本の中には「株式資本」も含まれます。株主資本が少ないということは、株主からの評価が低い(もしくは自己株式が多すぎる)可能性もあるため、その比率には注意しましょう。

なお、類似した指標に「ROA(総資産利益率)」もあります。